新川柳作記念館 Ryusaku Shinkawa Memorial

ACE

西田天香師との出会い

エースの経営の根本理念「商事是亦報恩道」

1956年(昭和31年)、大阪・心斎橋でオーダーシャツの店をかまえるFさんから以前よりお聞きしていた、西田天香師創始の京都・一燈園の研修会へと参加しました。当時84歳で矍鑠かくしゃくとした師は、おだやかで温かい仏様そのままのご尊顔をされ、「商売は我欲でしてはいけないのです。また人は驕りを捨てなくてはなりません。商事是亦報恩行しょうじこれまたほうおんのぎょうである事を知らなくてはいけない」と懇切丁寧に教えを語られます。

商売もまた社会に対する報恩の行であるのだから、儲けを考える前に、まず奉仕することを考え、どうしたら世の人々のお役に立てるかということを、いつも考えて行動しなければならない、と説かれたのです。

師のお話は、ひと言ひと言が私の心に響き、身にしみます。なかでも「商事是亦報恩行」と説かれた時、まったくそのとおりだと感銘し、私の思いも同じでした。しかし凡人の私には、とても師のような「行」の実践は難しく、せめて「道」として商売の道に生かさせていただこうと決意して私は師に、お教えの中の一文字「行」を「道」と代えて、エースの企業理念にさせていただきたいとお願いし、お許しを得たのです。

私がこの頃のなべ底不況のなかで必死に模索し求めていたのは、実は企業理念・経営理念だったのです。この師との出会いによって「商事是亦報恩道」をエースの経営の根本理念とし、かばんひと筋に生きることこそが、報恩の道であることを見出したのです。